文章中、この色の言葉の意味は、上記の残土用語辞典をご覧下さい。





7.ヘドロ対策
ヘドロの発生

ヘドロの発生原因と建設事業との関わり
 建設事業のひとつに土地造成や砕石があります。たとえば土地造成を行う事で、エロージョン(土の表層が雨などに侵食されること)が起こりやすくなります。河川の上流からエロージョンなどで流出した粘土粒子に、排水(住宅からの生活排水・工場からの工場排水)や藻類(太陽による光合成で増殖する)などの有機性物質が付着して生成したのがヘドロ粒子です。
ヘドロの特性
 有機物質を含む軽い粘土粒子でできています。堆積したヘドロは普段は底にたまっていますが、ちょっとした水の抵抗で舞い上がるほどやわらかいものです。これは、多量の水分を含んで離さない特質と、水分子と反発して沈降しにくい特質を持っているからです。たとえば川や池に足を踏み入れたら底のヘドロにズブズブと足がめりこんでしまった...。というような事がある人はご存じでしょうが、ヘドロはやわらかく厚く堆積しています。
ヘドロの弊害現状と環境問題
 湖岸の街からは工場排水、生活雑排水が流れ込み、昔なら見かけもしなかった水草を繁殖させました。湖底に堆積した厚さ数メートルのヘドロは湖水を富栄養化し、汚染の元凶となっています。川の底に溜まっているヘドロは腐敗して水質汚濁を起こし、結果、悪臭の発生源でもあります。また、ヘドロの土のため農作物がほとんどできない事もあります。水深が浅くなってしまう為に船舶運行への支障も出ます。
 このようにヘドロは私達の生活や環境に対して、実にマイナス面でしかありません。
浚渫(しゅんせつ)とその問題点

 ヘドロ粒子は、流速の弱まった河川や河口部に沈積するので、それをすくい取らないと、水底が腐敗して水質汚濁を起こし、環境が劣化します。この、すくい取り作業を浚渫(しゅんせつ)といいます。ヘドロ処理として、浚渫は欠かせないものです。もちろん、浚渫以前に河川に流れ込む汚水を止めることが大事なのですが、今あるヘドロを取り除かない限り河川はきれいになりません。例えば、ヘドロの浚渫(しゅんせつ)を1991年から始めた琵琶湖では毎年1万5000トンが取り除かれています。琵琶湖内のヘドロを全てを取り除くには気の遠くなるような時間が必要でしょう。
 浚渫順序は次のようになります。

浚渫以前の根本的な対策
 ヘドロ処理として浚渫は欠かせないものですが、根本的にはヘドロの発生を抑制することが求められます。上記のヘドロ発生のイラストを参考にし、次のような対策が考えられます。

★粘土粒子に排水中の有機性物質などが付着して生成したのがヘドロ粒子。つまり、
粘土や有機性物質の発生を防ぐことでヘドロの発生も抑制できるのでは・・・?
(1)造成地や採石場からの排水を完全に処理する。
粘土粒子の排出が無くなる。
(2)降雨時も表流水を直接河川に入れずにまず遊水地で粘土を除去する。
粘土粒子の排出が無くなる。
(3)生活排水や工場排水を完全に処理する。
有機性物質、窒素、リンなどの排出削減。
再利用への動き
 土砂、浚渫土(つまり浚渫ヘドロ)は廃棄物処理法の対象となる廃棄物から除外されています。法的には残土と同じ扱いです。しかし汚泥と同じくらい扱いにくいものなのです。脱水しても容易に盛土などに利用してもらいにくい上、ヘドロには危険な重金属類がたっぷり含まれている事もあります。簡単に捨てるわけにはいきません。

昨今、各方面でこのヘドロを処理して再利用へと進ませようとする動きが見られます。
例1./無機性凝集剤によりヘドロと水を分解。凝集沈降あいたヘドロは脱水され、無機性固化剤投入によりリサイクル土となる。分離した水は飲み水に近い状態になる。etc....
例2./ヘドロ利用干潟(浚渫土を利用した人口干潟)が完成。etc....




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